無カタラーゼ血症

無カタラーゼ血症または低カタラーゼ血症は、カタラーゼ活性の欠失の結果生じるまれな遺伝病であり、口腔内に病変が出現する。CAT遺伝子はカタラーゼをコードする役割を担っているため、この遺伝子に変異や欠損があると無カタラーゼ血症が発症する。

症状

無カタラーゼ血症に罹患した犬の約50%は、痛みを伴う歯肉のただれ、歯の喪失、口腔壊疽など、主に口腔に臨床症状が現れる。さらに、この疾患は炭水化物、脂質、ホモシステインの代謝にも影響を及ぼし、糖尿病や動脈硬化のリスクを高める。

疾病管理

無カタラーゼ血症の治療は、口腔衛生を適切に保つことと、再発性感染症の治療に抗生物質を使用することに重点が置かれます。また、口腔内の痛みを最小限に抑えるために洗口剤を使用することもあります。

遺伝的基盤

常染色体劣性遺伝のため、性別に関係なく、突然変異または病原性変異体のコピーを2つ受け継がなければ発症する危険性があります。 罹患した犬の両親は少なくとも1コピーの変異を持っていなければなりません。 突然変異を1コピーしか持たない犬は発病のリスクは高くありませんが、突然変異を後世に伝える可能性があります。 発病の可能性のある遺伝子変異を持つ犬同士の繁殖は、たとえ症状が見られなくても推奨されません。

テクニカルレポート

無カタラーゼ血症は、CAT遺伝子がコードするカタラーゼという酵素の活性不足によって起こる。カタラーゼは、過酸化水素の水と酸素への分解を触媒することにより、酸化ストレスに対する身体の防御において重要な役割を果たしている。この反応は、赤血球、肝臓、その他酸化ストレスにさらされる組織が正常に機能するために極めて重要である。 この疾患は、CAT遺伝子のナンセンス変異に関連している。c.979G>Aの置換はアラニンからスレオニンへの変化を引き起こし、その結果、網状赤血球においてタンパク質分解を受けやすい変異型タンパク質となる。

最も影響を受けた品種

  • ビーグル
  • アメリカン・フォックスハウンド

参考文献

Nakamura K, Watanabe M, Takanaka K,et al. cDNA cloning of mutant catalase in acatalasemic beagle dog: single nucleotide substitution leading to thermal-instability and enhanced proteolysis of mutant enzyme. Int J Biochem Cell Biol. 2000 Nov-Dec;32(11-12):1183-93.

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